美味しいすじこの選び方
「すじこって何?」
「イクラとどう違うの?」
「どうやって食べるの?」
よくお客様から・・・(特に関東以降南にお住まいの方から)「すじこ」についてご質問を頂きます。
ここ青森ではお馴染みですが、全国的には「謎」の多い食材のようですね。
そこで、皆様に出来るだけわかりやすく、すじこについてご説明してみたいと思います!
すじこって何?イクラとの違いは?
すじこは、サケやマスといったサケ科の魚の卵を、バラさず、卵巣に入ったまま塩漬や醤油漬にしたものです。
鮭と鱒は非常に種類が多く、シロサケ・カラフトマス・ベニサケ・マスノスケ・ギンザケ・サクラマス・ ニジマス・トラウトサーモン等、たくさんあります。当店の「すじこ」は、海で養殖されたトラウトサーモンの卵を使っています
※親子なので鮭とすじこは大抵同じ店で扱っています。すじこの親の鮭、特に塩鮭は日本食卓の定番。ただ、筋子をとった後の鮭は美味しくないので、今は「身を食べる鮭」と、「すじこを作る鮭」とは別々です。
さて、いくらは、すじこと親は同じでサケやマスですが、より成熟し卵膜がしっかりとした卵を使用し、それらをほぐして味付けしています。(主流は醤油漬)。
すじこは未成熟の卵を使用して作られ、その名の通り筋のまま、ほぐさずに1本1本漬けたもの(主流は塩漬、塩分濃度は4~7%)で、熟成された旨みが違います!
美味しいすじこの選び方
「すじこはどこで買っても同じじゃないの?」
「最近のすじこは味がいまいち、ぴったりこない!」
美味しいすじこ、食べたいですよね。
すじこには、原料の親の違いで、たくさんの種類があり、それぞれ違った味・コク・旨みがあります。
親魚 |
色目 |
塩味 |
コク |
紅鮭・・・紅子(ベニコ) |
赤~赤黒 |
甘口~辛口 |
紅鮭特有のこってり感 |
白鮭(=秋鮭)・・・鮭子(サケコ・ハラコ) |
赤黒 |
甘口が多い |
イクラの塩味と同じコク |
銀鮭・・・銀子(ギンコ) |
赤黒 |
甘口~辛口 |
皮が硬め・イクラの塩味と同じコク |
ますのすけ(キングサーモン)・・・キング子 |
オレンジ系 |
中辛 |
皮が硬め・モチモチした食感 |
トラウトサーモン・・・トラウト子 |
オレンジ系 |
甘口(最高品) |
コクが一番ある |
鱒・・・鱒子(マスコ) |
オレンジ~ 黒オレンジ |
辛塩(が多い) |
|
また、原料の親の漁場・漁獲時期によっても味が違います。
採卵してから漬込みまでの時間の経過でも大きく味が変わってきます。いかに短時間で漬け込むか、鮮度が命です!
漁場 |
ヨーロッパ系 |
アメリカ・アラスカ産 |
ロシア産 |
日本 |
時期 |
10月~12月 |
5月~7月 |
春~秋 |
9月~11月 |
処理 |
現地採卵 |
現地採卵 |
現地採卵 |
国内採卵 |
加工 |
日本人の技術者が採卵地の工場で漬込 |
現地の人が採卵地の工場で漬込 |
現地の人が別の工場で漬込 |
日本人が国内の工場で漬込 |
すじこは、採卵される漁獲時期・自然環境の変化によって、卵の質が違います。熟成度合いが大きく関わってきます。
食べてわかる卵質について
未熟(若い) |
もっちり |
粒がしっかりしていないので、ほぐそうとすると潰れてしまう。 |
成熟(ちょうどいい) |
ぱらぱら |
一粒一粒がしっかりしてきているので、ぱらぱらとほぐせる。皮は口に残らない。 |
過完熟(熟れ過ぎ) |
ぶちぶち |
一粒一粒の皮が硬くなってしまうため、ぶちぶちした食感。 皮が口に残る。 |
すじこには魚の種類によって種類があり、次のように呼びます。
●紅鮭・・・紅子(ベニコ)
●白鮭(秋鮭)・・・鮭子(サケコ)、チャム子、ハラ子
●銀鮭・・・銀子(ギンコ)
●鱒(マス)・・・鱒子(マスコ)
●鱒の介(キングサーモン)・・・キング子(キングコ)
●トラウトサーモン・・・トラウト子(トラウトコ)
すじこの産地もいろいろあります。
<産地別に見られるすじこの特徴>
○アラスカ産(紅子)・・・赤色で粒が大きめ。時間とともに赤から黒に変色。やや塩辛い。
○北欧産(トラウト子)・・・価格が高めですが発色がよく甘口。色目きれい。
○ロシア産(味付け筋子)・・調味料で甘く仕上げ、しょうゆ味が多い。
よく首都圏の量販店で見かけます。
○国産(マスコ、鮭子)・・・大粒で薄塩。色目やや黒
※青森に卸売市場が開設された当時のすじこは、北洋母船式漁業で生産された国産品でした。これが昭和50年代に入ると、アラスカで生産されたアメリカからの輸入品が主流となります。さらに平成に変わり、デンマークやノルウェーの養殖鮭鱒からつくられる筋子が登場しました。今、青森県内で消費される塩筋子の大部分は、この北欧から輸入されたものです。
大体以上が、筋子の現在の生産・流通しているものです。
ランク別だと 北欧>アラスカ>国産>ロシア の順でしょうか。
もちろん筋子は生ものに近く、その独特の生産技術によって、同じ産地でも等級があり、その技術は各社秘伝となっていることが多いです。
味付けも大きく分けて2種類あります
■醤油漬け・・・最近、流行ってきた味付け方法です。筋子を色の付かない醤油で味付けしたものです。 (地元・津軽では主流ではありません)
■塩漬け・・・古くからの製造方法です。筋子を塩水で処理後に、塩を旨み成分を引き出す方法で、さらにもう一度塩漬けするやり方です。筋子は鮮度が命で、獲りたてをすぐ加工したものは、塩分も少なくパラパラとして旨みも抜群です。ただし、時間の経った原料を使うとどうしても塩がきつくなり、筋子自体のつぶつぶ感も失われます。
塩分が少なめでより旨みがあるものが値段も高いです。
値段が安くなるに従い、塩分も多くなり、また筋子の硬さもやわらかめになります。
当店のすじこは全て薄塩味です。シンプルな塩味だけですが、それだけに筋子本来の味が際立ちます。
最終的に…「すじこ」は、品種・漁場・漁獲時期・海洋の自然環境の変化により、卵質及び卵の皮の硬さ等が微妙に違います。お客様の用途に合わせ、その時期に一番良い状態のものを、お客様に代わって選ぶん専門の人がいるお店でのお買い物をお勧めいたします。
ただ、技術はどんどん進化するので、「これは美味しい」というものが出てきましたら紹介させて頂きます。また、すじこの味付けに関しては、「醤油漬」「味噌漬」なども出回っております。どれも食べやすく工夫されていますが、当店では美味しいと思えないので販売はしておりません。
すじこはどうやって食べるの?
すじこは煮たり焼いたりせず、このまま「あっつい(熱い)、まんま(ご飯)」に乗っけて食べるのが最高です。
今まで一度だけ「軽くあぶって食べる」というお客さんに出会いました。しかしこれは筋を取るのが目的だったそうです。
失敗したら元も子もないのでやらない方がいいです。ハマダのすじこは筋も皮も薄いので、どうかそのままお召し上がりください。
<すじこのほぐし方>
包丁でのぶつ切りはお勧めしません。
せっかくの粒が切れて汁が出る上に、切った断面が乾燥し、持ちも悪くなります。お箸で一口大にちぎってください。
おにぎりにする時は、ぜひ炊き立てご飯で!
ご飯の熱が後々すじこのパラパラ感を生み出してくれます。
くれぐれも「手力」を入れすぎないように…中はふんわり・外側キュッの感覚です。ハイ。塩加減はいつもの通り、すじこ自体そんなにしょっぱくありませんので、塩むすびの時と同じで大丈夫!後は海苔なりゴマなりお好みで!
すじこが余ってしまいそうな時は
すじこは冷蔵保存のまま、出来るだけお早めにお召し上がりいただきたいところですが、たくさん買ってしまって食べきれない場合の長期保存の方法をお知らせします。
1)1本ずつラップで包んで冷凍庫へ
すじこは空気に触れた状態で冷凍すると、乾燥し、変色・変質してしまいます。面倒でも1本ずつラップに包み、フリーザーバックなどに入れて冷凍保存していただきますと、1ヶ月を目安に長期保存が可能です。
2)解凍後は2~3日で食べきること
すじこは生鮮食品ですので、解凍した瞬間から少しずつ鮮度が落ちていきます。また解凍後は柔らかくなりやすいため、出来るだけお早めにお召し上がりください。